1月4日
「ブラックブック」CSで見た。オランダのユダヤ人がナチスから逃れる話。聖書のエステル記のような女主人公による活劇。実話に基づくと言う。胡散臭いレジスタンスや、謎のユダヤ人法律家、人間味あるドイツ将校、悪辣なエステル記におけるハマンのようなドイツ人将校が出てくる。ホロコーストの恐怖や、レジスタンスによるナチス協力者への辱めなどすさまじい描写がある。サスペンスフルで一気に見終わった。

1月23日
「Dr.パルナサスの鏡」と「アバター」を見た。どちらも「見世物」としてよくできていた。それ以上ではなかった。それで十分。

2月17日
「インヴィクタス」を見た。イーストウッドの名人芸に酔った。ネルソン・マンデラという人の人となりを垣間見た。モーガン・フリーマンは最後に出てくる写真のご本人に比べたら、まだまだ野心満々な感じだ。実際のマンデラは、実に恬淡として力が抜けている。あの風貌は侮れない。すばらしい作品だ。

2月20日
「ゴールデン スランバー」を見る。竹内結子は大物になったな。「リング」で一番最初にブサイクに死んでた頃からのファンなので感慨もひとしお。最初の吉岡秀隆のあまりに嘘くさい演技に腹が立って乗れなかったのだが、あの程度の世界観なんだな、とわかってからは面白く見られた。なんだかわからないが、物凄く巨大な権力者の陰謀に操られているんだ、この世界は・・・なんていうチャチな子供だまし世界に目をつぶって楽しむしかない。コメディの要素もあって結構笑った。

3月1日
「シャネル&ストラヴィンスキー」。スキャンダラスな「春の祭典」の初演の場面から始まる。とても面白かった。俺は「春の祭典」を10回以上演奏したことがある。プロのオーケストラではもはや定番(クラシック)であるこの曲が、初演当時のフランス人たちにどのように受け止められたか、映画はうまく描いている。映画のとおり、初演の指揮をしたシャルル・ミュンシュはどのような混乱の中でも指揮をやめず、最後まで演奏したそうだ。シャネルがストラヴィンスキーのパトローネだったことなどを不勉強で知らずにいた。シャネルの映画がいろいろあったが、オドレイ・トトゥのものも見てみたい。この映画のシャネルは最高に美しく、実物にも似ているように思う。初めから最後まで、登場人物が凄い勢いで煙草を吸っているのがよい。最近の健康志向など糞食らえ、という意気を感じた。