終わり方がおやおやの「アメリカン・ニュー・シネマ」風だ。
テルマ&ルイーズ

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内容はあのシャーリーズ・セロンの傑作「モンスター」と俺の大好きな「猟奇的な彼女」をミックスした作品。

テーマは女に対する抑圧の強い韓国や上海、香港で大ブームになった「猟奇的な彼女」と同じ。アメリカの南部の平均的な男が女をどのように扱うかが焦点になっている。

しっかり者のルイーズと抑圧的な馬鹿亭主に閉じこめられているダメ主婦のテルマが、週末にほんの少し息抜きの旅行をしようというところが発端だ。

いたって牧歌的な始まりの映画は、たががはずれたダメ主婦テルマの暴走によってとんでもない方向に転がっていく。ルイーズの触れてはいけない過去に関係のある出来事が起きてしまったのだ。


気のいい大学生風のブラット・ピット演じるJ.D.がからんで、話は「雪だるま」式(スーザン・サランドンの台詞より)に悪い方向に転がっていく。

はじめ苛つくバカ女だったテルマがどんどん「ヨプキ=猟奇的」になっていくのが面白い。爆笑ネタが満載されている。

なぜかテルマがコンビニ強盗を見事にやってのけたり警官を脅してパトカーのトランクに閉じこめたり(人道的な方法でねw)ラジバンダリ。。

無名のブラッド・ピットが今と同じ芸風で出てくるのが微笑ましい。スーザン・サランドンの肝っ玉の据わり方がいい。

アーカンソー、オクラホマそれからテキサスを通らず、ユタ、アリゾナそしてメキシコへ・・・。

俺もオクラホマ、ミズーリ、アーカンソーあたりを走ったことがある。なんにもない乾燥地帯。道だけがどこまでも続いている。

ジョン・フォードの古典「駅馬車」でネイティブ・アメリカンと騎兵隊が駆け抜けたモニュメント・バレーをテルマとルイーズのT・Birdが疾走する。

大量のパトカーとのカーチェイスは見ものだ。「わたしたちもこれまでね」と覚悟を決めた次の瞬間!!

いい場面です。

「運と頭の良さはいつか行き詰まる。」(ハーベイ・カイテル演じる渋い刑事の台詞より)

というより、はじめからから先のない逃避行だった。そして最後のおやおやの場面で終わり。

だめじゃん、リドリー・スコット。あんな風に逃げちゃ。二時間十分もかけてあれかよ。お前も所詮アメリカのコンサバティブ爺さんにすぎないな。

あのタンクローリーのディスガスティング・マナーの男と同じだ。あいつはどれだけ酷い目にあってもついに謝らなかった。全く不愉快だ。

テルマもルイーズもあれでよしとしては女が廃る。顔を蹴るとか銃でぶっ殺すとかしてほしかった。少なくとも俺の大好きなヨプキ姉さん、チョン・ジヒョン(全智賢)のように男をぶん殴らなくてはいけない。

後味爽やかなラブコメ「猟奇的な彼女」のほうがよっぽど優れている。

居直るテルマを好演するジーナ・デイヴィスや、ルイーズの恋人ジミー役で出てくるマイケル・マドセンが渋くて俺は好きだ。

いまひとつスカッとしなかったなあ。