この映画はひどい。見る価値がない。脚本がひどすぎる。

どれほど撮影に苦労しようが、素晴らしい映像だろうが、映画という物は成り立たない。

俳優が出てきて台詞を言い始めたとたんにこの映画の駄目さがわかってくる。書き割りのような人物。薄っぺらなキャラ設定。役所広司、浅野忠信、松田龍平、香川照之がそれぞれ見事な演技をするのだが、台詞の陳腐さ、カット割りのへんてこさに苛々してくる。

厳しい登山に伴う雪崩、落石、転落、遭難など、ことごとくサスペンスゼロに描かれる。本当に危険な雪渓を歩いているのだろうが、登場人物たちの内面がまったく描かれていないから、なにも感じることができない。本当に山に籠もってものすごい映像を取っているんですよ、といわれても、それだけではまったくすごいと感じられない。

逆に、全部セットやCGで撮ったとしても、はらはらするドラマや、危険を顧みず任務を淡々と遂行する男たちの感動物語は描ける。

香川照之の演技には惚れ惚れさせられる。浅野忠信もいい。演技がうまい分、台本のひどさが際立つ。俳優たちにはどうしようもない。

二時間近く映画館で座っていることが苦痛だった。腹が立って外に出てしばらく悪態をつき続けた。とにかくひどい。ひどいよ。