冒頭の町並みの俯瞰。野川沿いのハケの道から本作の舞台となる古い屋敷までの描写に目が釘付けになる。

俺の住んでいる界隈を見事に描いているからだ。

古くは大岡昌平の「武蔵野婦人」の舞台。国分寺崖線に残る武蔵野の面影。

本作の最後の場面でも、段丘の上から見晴らした多摩川方面の風景など、はっと胸を突く情景だ。

NHK教育で、ジブリの背景画家の講座を見た。様々なノウハウがあって、あの美しい背景が描かれることを知った。今回の作品でも、登場人物ではない、背景を見続けた。

草や木の表現、家の朽ちた木材の感じ、空や水・・・・。手で書いたそれらすべての背景の見事さ。ほんの一瞬のために費やされる作業量。

ジブリ作品の誠実さはこの背景にある、なんちゃって。

知ったかぶりだ。

作品の内容は・・・・う~ん、普通。

絵を見るためにもう一度行こう。